訪問介護事業に参入するメリットは?
1.開業資金があまりかからない
さすがに100万円や200万円といった資金で開業はできませんが(開業は可能かもしれませんが、おそらく半年後にはその事業所は資金不足で閉鎖されています)、他の介護事業(特にデイサービスやグループホームといった施設系の介護サービス)と比べると、開業資金の負担を大きく減らすことができます。
デイサービス(定員20名ぐらい)の開業資金と比べてみると、| 項 目 | デイサービス (通所介護) |
訪問介護 |
| 事務所・施設の準備費用 (事業所の賃貸契約にかかる費用や改装・内装工事にかかる費用) |
1000万〜1500万円 | 20万〜30万円 |
| 送迎車の準備費用 (車いすごと乗車可能な送迎車の準備) |
150万〜300万円 | 0円 |
| 事務所・施設の備品にかかる費用 | 300万〜400万円 | 30〜40万円 |
| 開業5ヶ月間の運転資金 (事業が軌道に乗るまでの人件費や家賃・水道光熱費など固定費用) |
500万〜600万円 | 400万〜500万円 |
| 合 計 | 1950万〜2800万円 | 450万〜570万円 |
デイサービスは「利用者に来ていただいて介護サービスを提供する」事業ですので、事業所の基準が法令で事細かに定められており、その基準を満たすための改装費がかなりの負担になります。改装の規模によっては「新築した方が安いのでは?」と思える事例も弊社では多く見ています。
ところが訪問介護は「利用者の自宅にこちらから出向いて行うサービス」ですので、事務所として必要最低限の基準は満たす必要はありますが、通常の住居タイプの物件を賃貸すれば、内装工事など必要なくそのまま使用できます。事業規模が大きくなれば話は別ですが、開業当初から3LDKとか4LDKという部屋が5つ・6つもあるような物件を借りる必要はなく、少なくとも2部屋あれば(又は一部屋がちょっと大きい物件で)訪問介護事業は開業できますので、不動産屋に支払う敷金や礼金、仲介料も安い物件を探せば20〜30万円で抑えられるのではないでしょうか。
デイサービスの場合、「来ていただくサービス」ですので、送迎車が必要になりますが、訪問介護の場合は、「ヘルパーさんが保有している移動手段(徒歩・自転車・バイク・乗用車)」で済みますので、事業所がわざわざ車を用意する必要がありません。
事務所や施設に置く備品ですが、デイサービスの場合は、
「快適に過ごしていただくための娯楽器機(テレビなど)」
「機能訓練のトレーニング器機」
「エアコンなどの空調機器」
「食事を提供する場合は調理機器」
「お風呂を設置する場合は入浴器機」
と雪だるま式に備品の費用が増えていきますが、訪問介護事業所の場合は、利用者が事業所に訪ねてくることは滅多にありませんので「自分たちがある程度快適に仕事ができる最低限の空調機器(エアコン)」と「事務作業に必要な機器(書棚・机・いす・パソコン・電話・FAXなど)」という基本的な備品だけで済んでしまいます。リサイクルショップやホームセンター・家電量販店、そして格安パソコンのデルコンピューター等を利用すれば30〜40万円にて必要な備品はそろえられるでしょう。
開業5ヶ月間の運転資金ですが、事業所の家賃や水道光熱費がデイサービスと比べて大きく節約できますので、事業が軌道に乗るまでの運転資金だけで100万円ほど訪問介護の方が低く抑えることができます。
このように考えていくと、訪問介護事業はだいたい500万円ぐらいの開業資金にてオープンさせることが可能です。
皆さんが想像されている開業資金と比べると高額かもしれませんが、通常の事業(たとえば飲食店やコンビニ・ブティックなどの商店)と比べるとこの500万円の開業資金というのは格安の部類に入ります。格安というより「破格の安さ」です。
よって、本気で事業・ビジネスをお考えの方にとって訪問介護という事業は資金的に非常に参入しやすいといえるでしょう。
2.事業所の立地にあまり左右されない
「1.開業資金があまりかからない」でも述べましたが、訪問介護事業は「利用者宅にこちらから訪問してサービスを提供する事業」ですので、事業所の立地に客足が左右されることがありません。
もちろん、誰も住んでいない集落から離れた山の中でポツンと開業しては、廃業への道をひた走ることになりますが、常識的に考えて、
利用者となる高齢者が多く住んでいる地域
に事業所を構えることができれば、それでOKです。
(上の条件プラスして、従業員となるヘルパー免許を持たれている主婦層が多く住んでいる地域ならば開業地として最適といえますが、どこにヘルパー免許を保有している方が多く住んでいるかは調べようがありませんので、そこまで深く考える必要はありません)
マンションやテナントの1階である必要はなく、高層階でも構いません。
人通りが多い筋から一本中に入った裏通りに事業所があっても構いません。表通りの人通りが多い方が看板を立てれば事業所の存在がアピールできますので有利なのは間違いないですが、これぐらいのデメリットはケアマネージャーへの営業活動を強化すれば何とでもなります。
小売店や飲食店は立地がすべてです。どれだけおいしくても、品揃えが多くても立地が悪ければそのお店は繁盛しません。お客がこないのですから。なので「どこにお店を構えるか?」に非常に神経を使います。場合によっては出店するためだけにコンサルタントを雇い、多額の費用をかけて出店計画を練ります。
それに比べると訪問介護事業は、事業所の立地に客足がそれほど影響されませんし、多少のミスならばケアマネージャーや医療従事者への営業活動にて挽回することが可能ですので、これから起業・創業・独立される「ビジネス初心者」に非常に優しい環境であるといえます。
3.対象となる利用者が多い
「訪問介護事業とは?」に記載したように、訪問介護事業は日常生活の手助けを行うサービスですので、誰もが利用者となる可能性を秘めています。グループホームのように「認知症の症状が出ている方のみ」とか、訪問看護のように「医療的な補助が必要な方のみ」といったことがありません。高齢者ならば誰でもいずれは利用すると思われるサービスですので、「お客となってくれる人数」が他の介護事業とは桁違いに多くなります。
また、介護度が比較的軽度な方でも利用するサービスですので、利用者の満足度さえ維持できれば、他の介護サービスと比べて長くお客としておつきあいできるのも魅力です。(たとえば訪問看護だと利用者が入院してしまうことが多く、長期の継続的なお客にすることが難しい)
よって、
・利用者に満足してもらえるサービスを提供し、口コミの評判を増やし、
・ケアプランを組んでもらえるケアマネージャーを確保する。
という利用者獲得に力を入れ、それが軌道に乗ったならば、その後は他の介護事業と比べればスムーズに運営することが可能です。
4.業務に必要な資格取得が容易
訪問介護事業所を開業するには、
★管理者
(訪問介護事業所の責任者)
★サービス提供責任者
(その名の通りサービス提供の責任者。ヘルパーのまとめ役)
★訪問介護員
(実際に利用者宅に訪問してサービスを提供するヘルパー)
の3つの職種に定められた人数の人員を配置しなければいけません。
管理者は資格要件が定められておらず常勤職員ならば誰でもなれます。
サービス提供責任者に必要な資格は、
「ヘルパー1級」「介護福祉士」「看護師・准看護師」
「ヘルパー2級で実務経験3年以上の者」
と定められています。
訪問介護員は「ヘルパーの資格保有者」です。(もちろん看護師や准看護師などサービス提供責任者になることができる方は誰でもヘルパーとして働けます)
管理者は資格要件はありませんので、無資格者の方が起業して管理者に就任することは問題なくできます。しかしながら介護ビジネスを興すわけですから、介護に関する資格が全くないというのも問題です。訪問介護事業所を立ち上げてヘルパーさんを何人も雇用していくのですから、「ヘルパーさんがどのような仕事をしているのか?」とか「どれぐらい大変な仕事なのか?」ぐらいは知っておかなければ経営者として従業員に的確な指示が出せません。「どのような仕事をするのか?」がわかっていなければ、「どのような人を採用すればいいのか?」もわかりません(この人はヘルパーに向いているのかどうか?なんて絶対にわかりません)。これでは事業所オープン前の従業員の採用の時点で躓いてしまう可能性も出てきます。
看護師や准看護師の資格を取得するには看護学校に通う必要がありますし、国家試験に合格しなければいけません。介護福祉士も介護現場での実務経験と国家試験が課されます。そう簡単に取れる資格ではありません。ところがヘルパー2級(訪問介護員2級)は、養成講座に通えば、「実務経験なし」「試験なし」で取得可能です。
平日毎日通う短期集中講座ならば1ヶ月ほどで取得できますし、土日や夜間に通う講座ならば半年ほどの時間をかければ取得できます。やる気と時間さえかければ取得できてしまうのです。(ちなみに、ヘルパーの養成講座は実習が取り入れられていますので、資格が取得できた時点で多少はヘルパーの気持ちがわかります)
このように事業をいち早く軌道に乗せていくには「ヘルパーとして働く・働かない」は別として、ヘルパーの免許が邪魔になることはありません。比較的容易にヘルパー免許は取得できますので、介護に関する資格が何もない方が介護ビジネスを起業するならば、訪問介護事業は非常に参入しやすい分野といえるでしょう。
5.うまくいけば利益は無限大!
介護事業の中には「利用定員」があらかじめ決まっているものがあります。
「デイサービス(通所介護)」
「ショートステイ(短期入所)」
「グループホーム(認知症対応型共同生活介護)」
といった施設系の介護サービスがこれにあてはまります。
利用定員によって事業所(施設)の大きさが決められますので、たとえば定員15名を想定して施設を建設したならば、どれだけ繁盛していたとしても、15名しか受け入れることができません。利用定員以上の利用者を受け入れるには、
「増改築して利用定員を増やす」
「新たに事業所を出店する」
といった方法しかないのです。こうなると「1」で記載したようにまた多額の資金を施設確保のために用意しなければいけません。
ところが訪問介護事業の場合、サービスを提供する場所は「利用者の自宅」となりますので、『利用定員』が定められていません。サービスを提供するヘルパーさんさえ確保できれば、事業所が1カ所でも数百人の利用者を抱えることが可能です。お客と従業員であるヘルパーさえ確保できれば1カ所の事務所で数千人の利用者を抱えることも理論上は可能です。
もちろん、利用者が増えればヘルパーさんの人数も増え、それに伴い事務作業も増えますので、いつまでも開業当初の小さい事務所のままでOK、とはいきませんが、事業所の移転も、少し大きめのスペースを確保できる部屋であれば問題ありませんので、移転に関する費用がデイサービスなどの施設系のサービスと比べると数十分の1〜数百分の1で済んでしまいます。
一度開業してしまえば、その後は人材さえ確保できればいくらでも拡張が可能、となっていくのが訪問介護のいいところなのです。
介護事業全般に共通したメリットは?
訪問介護事業に限らず、介護事業・介護ビジネスに参入するメリットをまとめてみました。もちろんココのメリットも訪問介護事業で享受可能です。
A.季節による売上変動が少ない
「夏だから介護は必要ない」「冬だから大挙して利用者が押し寄せてくる」といったことは介護事業ではあり得ません。「お盆(夏期休暇)」「年末年始(お正月)」「ゴールデンウィーク」といった長期休暇の時季は「息子が介護を手伝ってくれるので、訪問介護はいいです」とか「息子と旅行に行くので介護サービスは必要ありません」ということがあるかもしれませんが、「季節商品のように季節によって業務の忙しさや収入が全く異なり、繁忙期のために毎年人を確保しなければいけない」ということはありません。
よって、事業運営が軌道に乗ってしまえば、毎月安定した収入が見込めるということになります。「●月は仕事がほとんどないのでそれまでに●月分の人件費をためておかなければいけない」という悩みを抱える心配はありません。
B.売掛金の回収がラク
介護保険制度や障害者自立支援法といった公的介護制度を利用した介護サービスの場合、利用料の9割は国(行政)が負担することになっています。この9割の部分に関しては「6月の利用料が8月末に入金される」というように回収サイトはちょっと長くなりますが、確実に回収できます。利用者の自己負担金額の回収をきちんと行っていけば『売掛金の未回収率ほぼ0%』という他の商売では考えられない高回収率を達成できます。
C.リピーター獲得も容易
介護保険制度や障害者自立支援法といった公的介護制度を利用した介護サービスは「一見さんのお客」というのはほとんど発生しません。その方が自宅で生活していく限り、確実に毎月のリピーターとなります(1回きりのサービス提供になるのは住宅改修のサービスぐらいでしょうか)。
よって、事故や大きなクレームを発生させない限り新規顧客を獲得していけば、利用者人数は確実に増えていくのです。
訪問介護事業所を開業するには、このHPで説明しているように、非常に多くの書類を作成していかなければなりません。事業者指定申請(訪問介護事業所の開設手続)だけでなく、助成金の申請書や金融機関に提出する融資申請書・事業計画書の作成など、とにかく「訪問介護事業所を開業しよう」と決意したならばこれから先は書類との戦いが始まります。
もちろん、訪問介護事業所開設申請に関する書類の雛形は、大阪府庁の介護保険事業者指定の部署や兵庫県庁等に「訪問介護事業所開設申請に関する手引き書を下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、都道府県によってはHPから手に入れることもできます。
しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりそんなことできません。はっきり言って不可能です。
苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと許可が下りた訪問介護事業所というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「訪問介護事業所を開設すること」が目的ではないはずです。開設した訪問介護事業所にて高齢者に喜ばれるようなサービスを提供すること・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? 訪問介護事業所の申請に時間をかけるならば、開業後の活動準備(顧客確保のための営業活動や運転資金確保のための融資手続など)に時間をかけた方が経営者・そしてそのサービスを受ける高齢者にとっても利益となると思われます。
そこで、甲子園法務総合事務所では、訪問介護事業所の事業者指定申請手続きはもちろん、開業後に必要な重要事項説明書や契約書の用意、運転資金確保に関するコンサルティング(助成金情報の提供や金融機関への融資手続代行など)、設立後の届出、法務アドバイス、経理事務の代行など経営者の負担を少しでも減らせるように、各種サービスを提供しております。また、介護事業所は開業後も様々な書類を役所に提出しなければいけません。監督行政庁から行政指導を受けないように、健全な運営を行っていく上でのコンサルティングも行っております。是非、ご利用ください。
必見! 訪問介護事業所開設手続を専門家に依頼するメリットは?


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行政書士法人甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】

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日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり弊社が掲載されています。

女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。

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