訪問介護事業所開業に必要な資金金額は?
訪問介護事業所を開業される方の、
・保有されている資格
・開業する都道府県
・訪問介護事業所と併設される介護事業の種類
・事業所立ち上げ当初のメンバーの集め方
などによって大きく変動してくるところなのですが、ここでは、
・経営者が介護福祉士・ヘルパー1級といった「サービス提供責任者」に
なることができる資格を有している
・大阪府大阪市内で開業
・併設の介護サービスは「居宅介護支援事業所」
・友人のヘルパーさん1人が開業当初は格安の給料にて手伝ってくれる
という場合の開業資金を計算してみます。
→→訪問介護事業所のみの開業資金計算はこちら
事業所開業後半年間にて必要な経費支払
| 項 目 | 経費単価 | 期間 | 必要金額 |
| あなたの人件費(生活費) | 30万円 | 6ヶ月 | 180万円 |
| 管理者の人件費 | 0円 | 6ヶ月 | 0円 |
| サービス提供責任者の人件費 | 0円 | 6ヶ月 | 0円 |
| 常勤訪問介護員の人件費 | 35万円 | 6ヶ月 | 210万円 |
| 登録ヘルパーさんの人件費 | 15万円 | 3ヶ月 | 45万円 |
| ケアマネージャーの人件費 | 30万円 | 6ヶ月 | 180万円 |
| 事務所家賃 | 7万円 | 6ヶ月 | 42万円 |
| 事務所賃貸費用(敷金など) | 40万円 | − | 40万円 |
| 水道光熱費・通信費 | 6万円 | 6ヶ月 | 36万円 |
| 備品購入費 | 50万円 | − | 50万円 |
| 交通費等その他の費用 | 10万円 | 6ヶ月 | 60万円 |
| 求人・採用費 | 50万円 | − | 50万円 |
| 経理事務委託費用 | 5万円 | 6ヶ月 | 30万円 |
| 会社設立の費用 | 30万円 | − | 30万円 |
| 事業所指定申請の代行費用 | 38万円 | − | 38万円 |
| 合 計 | 991万円 |
事業所開業後半年間にて手にする現金(売上)
| 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 5ヶ月 | 6ヶ月 | 合計 | |
| 訪問介護 | 0円 | 0円 | 10万円 | 20万円 | 60万円 | 100万円 | 190万円 |
| 居宅介護支援 | 0円 | 0円 | 4万円 | 10万円 | 15万円 | 20万円 | 49万円 |
| 合 計 | 0円 | 0円 | 14万円 | 30万円 | 75万円 | 120万円 | 239万円 |
収入−支出=必要な開業資金
となりますので、
239万円−991万円=−752万円
752万円不足するということなので、最低でも750〜800万円の開業資金が必要、ということになります。
各項目を解説していくと、、、
◆事業所開業後半年間にて必要な経費支払◆
●あなたの人件費(生活費)
経営者であるあなたの給料です。会社負担分の社会保険料込みの金額で記載していますので、
会社負担分の社会保険料込みの総人件費:30万円
給与明細に記載される支給額:27万円ぐらい
税金や個人負担分の社会保険料が引かれた手取金額:23万円ぐらい
となります。
手取り給料23万円は経営者という立場で考えるとちょっと少ないですが、事業が軌道に乗っていないのに、多額の給料を払えるほど財務状況は良くないはずです。事業が軌道に乗るまでの最初の1年間はこの金額で我慢してください。1年後に給料の大幅アップが図れるよう何が何でも1年以内に事業所を軌道に乗せましょう。
●管理者の人件費
●サービス提供責任者の人件費
経営者であるあなたは、
「介護福祉士・ヘルパー1級といった『サービス提供責任者』になることができる資格を有している」
ことになっていますので、自分で兼務してしまいましょう。そうすればこれらの業務にあたる従業員の人件費を0円に抑えることができます。
●常勤訪問介護員の人件費
管理者とサービス提供責任者を同一人が兼ねた場合、人員要件を満たすためには、常勤勤務のヘルパーさんが2名必要になります。そのうちの一人は、
顔見知りのヘルパーさんが開業当初は格安の給料にて手伝ってくれる
ということなので、その方の給料は、
会社負担分の社会保険料込みの総人件費:15万円
給与明細に記載される支給額:13万4000円ぐらい
税金や個人負担分の社会保険料が引かれた手取金額:11万9000円ぐらい
となります。
13万4000円の給料は大阪府の最低賃金はクリアしてますので、本人さえ納得していれば問題はありません。事業が軌道に乗ったら、即昇給させましょう。
もう一人のヘルパーさんは求人活動を行って募集することになります。
さすがに上のような給料では人材は集まりませんので、
会社負担分の社会保険料込みの総人件費:20万円
給与明細に記載される支給額:17万9000円ぐらい
税金や個人負担分の社会保険料が引かれた手取金額:15万9000円ぐらい
となります。
この方の給料も水準より高いとはいえませんので、事業が軌道に乗ったら、昇給を考えてあげてください。
●登録ヘルパーさんの人件費
ある程度利用者が確保できてきたならば、登録ヘルパーさんを募集し、仕事をどんどん任せていきましょう。常勤ヘルパーの主な仕事は、
「利用者獲得のための営業活動」 や
「サービス提供責任者の仕事の補助」
ですので、「利用者の下での介護サービスの仕事でいっぱいいっぱい」の状態にしてはいけません。
利用者が順調に増えていけば、開業3ヶ月目ぐらいから登録ヘルパーさんの手助けが必要になってくるはずです。
●ケアマネージャーの人件費
利用者の獲得のためにケアマネージャーを1名雇用し、居宅介護支援事業所と併設させます。そのための経費支出です。「ケアプランの作成」という事業の中核を担っていただく人材ですので、
会社負担分の社会保険料込みの総人件費:30万円
給与明細に記載される支給額:27万円ぐらい
税金や個人負担分の社会保険料が引かれた手取金額:23万円ぐらい
と介護ビジネスの給料設定の中では、ちょっと高給の設定にしてあります。
●事務所家賃
●事務所賃貸費用(敷金など)
事務所家賃7万円/月、敷金や保証金、仲介料などで40万円の経費支出を見込んでいます。大阪市内でも、
「物件の築年数が大きかったり」
「交通の便がちょっと悪いところ」
であるならば、この金額でも十分、事業所として使用できる物件を探し出すことができます。安ければ安いほど毎月の家賃負担は減らせますので、開業すると決めたならば安い物件を徹底的にリサーチしてください。「訪問介護事業参入のメリット」でも記載していますが、『利用者となる高齢者が多く住んでいる地域』ならば多少立地条件が悪くてもなんとかなります。
●水道光熱費・通信費
電話代(携帯電話代)が結構かかりますので、毎月6万円の支出を見込んでいます。
「エアコンを必要以上に使用しない」など節電に心がけてください。この予算で運営できれば、地球に優しい訪問介護事業所になれます。
●備品購入費
開業当初に買いそろえる机やいす、書棚、パソコンなどの購入費です。ホームセンターや家電量販店を利用すれば、そして贅沢をしなければ、この予算にて必要な備品はそろえられるはずです。
●交通費等その他の費用
業務に必要な交通費や、介護業務用ソフトのリース料・使用料、コピー機のリース料などです。開業初年度はおそらく一月当たり10万円ぐらいになるのではないでしょうか。
●求人・採用費
開業当初に必要なケアマネージャーや訪問介護員の求人活動に使用した経費や、登録ヘルパーさん募集の求人チラシなどに使用した金額になります。
●経理事務委託費用
必要最少人数での開業となりますので、経理事務の事務員を雇っているわけではありませんし、かといって、経営者自身が経理事務をできるほど経営者も時間にゆとりがあるわけではありません。経営者自身が「管理者とサービス提供責任者」を兼ねている以上、開業当初はケアマネージャーと一緒に、営業に出かけなければいけませんし、利用者が確保できてくると、「サービス提供責任者としての本業(ヘルパーへの指示等)」が必要になってきます。よって、経理は会計事務所などに委託された方が本業に集中できていち早く事業を軌道に乗せることが可能になります。
弊社では「訪問介護事業所の開業手続」だけでなく、経理代行事務も承っていますので、是非ご活用ください。 価格表はこちら
●会社設立の費用
●事業所指定申請の代行費用
弊社に、
「会社設立の手続」 と
「訪問介護事業所と居宅介護支援事業所の開設手続」
をご依頼いただいた場合の支払総額です。 価格表はこちら
事業所の開設手続はご自身にてされれば必要経費は0円ですが(自分でできるかどうかは別として)、会社設立手続はご自身でされても、24万2000円ほどの実費が必要になりますので、ご自身にて手続きされる場合、計上を忘れないようにしてください。
開業時に経費として考えておかなければならない項目はこれぐらいでしょうか。
「経費単価」や「期間」はあくまで一般的なものなので、この表を紙やエクセルにて書き写し、あなた独自の必要経費金額を算出してみてください。
◆事業所開業後半年間にて手にする現金(売上)◆
介護事業所の売上は、
自費負担の1割分:サービス提供月の翌月の月初めに利用者から徴収
公費負担の9割分:サービス提供月の翌々月の月末に入金される
が基本になります。
つまり、2008年の8月に開業したとするならば、開業初月の8月は入金が全くありません。翌月の9月になって利用者から1割分の利用料が徴収できるだけです。残り9割の公費負担分の入金は10月末まで入金されてこないのです。
言い換えれば、開業初月から利用者がわんさか確保できたとしても、開業当初の2ヶ月間はほとんど入金がないことになります。
実際のところ、開業初月から利用者が山のように確保できることはあり得ませんので、開業から4ヶ月〜5ヶ月は満足な入金は確保できないと考えておいてください。
この理由より弊社はこのWebページにて6ヶ月分の給料や家賃などの「運転資金」を開業に必要な資金として計上しているのです。
本Webページに掲載している「事業所開業後半年間にて手にする現金(売上)」の表に記載している数字は、かなり都合良く利用者が獲得できた場合の金額を記載していますが、ケアマネージャーとサービス提供責任者がタッグを組んで営業に力を注ぎ込んでいけば、表に記載した数字の売上を実現することは不可能ではありません。
開業資金が確保できない場合は?
上の計算式にて算出された金額を現金や預貯金にてお持ちであれば問題はないのですが、結構高額な金額になりますので、いままでの弊社の依頼者の方でも「全額開業資金を自前で出された」、という方はそういません。自分の手持ち資金だけでは必要資金を確保できない方は、
国民生活金融公庫 や
自治体の創業者支援融資(保証協会の保証付き融資)
といった金融機関の「創業者支援融資制度」を利用されています。
これら創業支援融資制度の特徴として、
開業資金として必要な金額の約半分が自分の預貯金から用意でき、
融資を申し込む際に連帯保証人が確保できる
ということであれば、
「自分が用意した金額とほぼ同額〜1.5倍」
の金額を金利2.5〜3%という低金利にて調達することが可能です。
介護事業や医療関係の職種に5〜6年携わった経験
があれば、「●●の経験を活かして創業します」ということで、金融機関の融資担当者にさらに良い印象を持たせることができます。
弊社では創業時の融資手続に関するコンサルティングや事業計画書などの必要書類作成の代行も承っていますので、訪問介護開業手続の際に遠慮なされずにご相談ください。
なお、
「開業資金として必要な金額の半分も預貯金として保有していない」
「開業資金に必要な半分にあたる金額は持っているが、融資は受けたくない。
自分が用意した資金のみで開業したい」
「融資は受けたいが、保証人の目処が立たない」
ということであれば、訪問介護事業所の開業はあきらめましょう。
事業を軌道に乗せる前に、事業資金が底をついてしまいますので。
訪問介護事業所開業に必要な資金をだいたい確認し、
・これぐらいの金額なら自分の力だけで用意できるから大丈夫
・必要資金の半分は自分の力で調達し、残り半分は融資を受けます
ということであれば、助成金が申請可能かどうかを確認しましょう。
ちなみに、この段階では、備品を買いそろえたり、事務所の契約を行ったりする必要はありません。どれぐらいの資金が必要かを自分に言い聞かせるための項目ですので。
訪問介護事業所を開業するには、このHPで説明しているように、非常に多くの書類を作成していかなければなりません。事業者指定申請(訪問介護事業所の開設手続)だけでなく、助成金の申請書や金融機関に提出する融資申請書・事業計画書の作成など、とにかく「訪問介護事業所を開業しよう」と決意したならばこれから先は書類との戦いが始まります。
もちろん、訪問介護事業所開設申請に関する書類の雛形は、大阪府庁の介護保険事業者指定の部署や兵庫県庁等に「訪問介護事業所開設申請に関する手引き書を下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、都道府県によってはHPから手に入れることもできます。
しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりそんなことできません。はっきり言って不可能です。
苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと許可が下りた訪問介護事業所というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「訪問介護事業所を開設すること」が目的ではないはずです。開設した訪問介護事業所にて高齢者に喜ばれるようなサービスを提供すること・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? 訪問介護事業所の申請に時間をかけるならば、開業後の活動準備(顧客確保のための営業活動や運転資金確保のための融資手続など)に時間をかけた方が経営者・そしてそのサービスを受ける高齢者にとっても利益となると思われます。
そこで、甲子園法務総合事務所では、訪問介護事業所の事業者指定申請手続きはもちろん、開業後に必要な重要事項説明書や契約書の用意、運転資金確保に関するコンサルティング(助成金情報の提供や金融機関への融資手続代行など)、設立後の届出、法務アドバイス、経理事務の代行など経営者の負担を少しでも減らせるように、各種サービスを提供しております。また、介護事業所は開業後も様々な書類を役所に提出しなければいけません。監督行政庁から行政指導を受けないように、健全な運営を行っていく上でのコンサルティングも行っております。是非、ご利用ください。
必見! 訪問介護事業所開設手続を専門家に依頼するメリットは?


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行政書士法人甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】

詳細プロフィールはこちら
日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり弊社が掲載されています。

女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。

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