人員基準をクリアできそうかを確認しよう!
訪問介護事業所を開業するには、
- 管理者
- (訪問介護事業所の責任者)
- サービス提供責任者
- (その名の通りサービス提供の責任者。ヘルパーのまとめ役)
- 訪問介護員
- (実際に利用者宅に訪問してサービスを提供するヘルパー)
の3つの職種に定められた人数の人員を配置しなければいけません。
この要件を表にまとめると下記のようになります。
| 職種 | 資格要件 | 配置基準 |
| 管理者 | なし。資格不要です。 | もっぱらその職務に従事する常勤の者1名 |
| サービス提供責任者 | いずれかの要件を満たすこと。 ◆介護福祉士 ◆介護職員基礎研修課程修了者 ◆訪問介護員養成研修1級課程修了者 (ヘルパー1級免許保有者) ◆訪問介護員養成研修2級課程修了者(ヘルパー2級免許保有者)で、3年以上介護等の業務に従事した経験を有する方 ◆看護師または准看護師 |
もっぱら訪問介護の職務に従事する常勤の者を事業の規模に応じて1名以上 |
| 訪問介護員 | いずれかの要件を満たすこと。 ★介護福祉士 ★介護職員基礎研修課程修了者 ★訪問介護員養成研修1級〜3級課程修了者 (ヘルパー1級〜3級免許保有者) ★看護師または准看護師 |
常勤換算方法で2.5以上 (この2.5にはサービス提供責任者を含む) |
「常勤」とか「もっぱら専従する」とか「常勤換算方法」など、はじめて目にする方には意味不明な言葉が使用されていますので、できるだけわかりやすく解説してみました。ちょっと文章が長くなってしまいましたが、最初からきちんと目を通していただければ何となくイメージはつかめると思います。
※常勤
事業所の営業時間帯に在籍し職務についていること。
たとえば、
訪問介護事業所の営業時間(シャッターをあけている時間)
午前9時から午後6時までの9時間(お昼の休憩1時間を抜けば8時間労働)
営業日
平日(月〜金)の週5日営業
という訪問介護事業所ならば、上記曜日・時間帯に訪問介護事業所の業務に従事している、ということならば、その方は「常勤職員」となります。
上の例は1日8時間労働・週5日勤務の週40時間労働でのたとえですが、仮に
訪問介護事業所の営業時間(シャッターをあけている時間)
午前9時から午後5時までの8時間(お昼の休憩1時間を抜けば7時間労働)
営業日
平日(月〜金)の週5日営業
という1日あたりの労働時間が7時間と短いところならば、上記の営業時間帯に訪問介護事業所の業務に従事している方が常勤職員となりますので、週35時間労働でも常勤職員として扱うことが可能になってきます。
同じ理屈でいえば、
訪問介護事業所の営業時間(シャッターをあけている時間)
午前10時から午後5時までの7時間(お昼の休憩1時間を抜けば6時間労働)
営業日
平日(月〜木)の週4日営業
の1日6時間・週24時間労働でも、常勤職員として扱えることになってしまうのですが、それを認めてしまうと極端に営業時間が短い訪問介護事業所が続出してしまうことになりますので、今回のように1週あたりの労働時間が32時間を下回ってしまう場合は、32時間を基本に計算します。
この例でいうならば、1週あたりの営業時間は24時間しかないので、あと8時間は何らかの形で訪問介護の仕事に携わらないと常勤職員として認めない、ということです。
※もっぱらその職務に従事する
勤務時間はその職務(管理者等の定められた役職の仕事)に従事し、他の職務に従事しないということです。
たとえば、建設業者が訪問介護事業所をオープンさせて介護事業に参入してきた場合、この管理者は、「勤務時間を通じて他の職務に従事できない」ことになりますので、建設部門の職務をこなすことはできません。
※もっぱら訪問介護の職務に従事する
勤務時間は訪問介護の職務に従事し、他の職務に従事しないということです。
「訪問介護の職務に従事する」と定められていますので、仮にこの訪問介護事業所が訪問看護や通所介護等の他の介護サービスを併設していたとしても、そちらの職務に従事することはできません。
※常勤換算方法で2.5
「常勤換算方法」とは該当する従業者の勤務延べ時間を、常勤職員が勤務するべき時間で除する(わり算)することによって、非常勤職員も含めた従業者の員数を常勤職員の員数に換算する方法です。
たとえば、
訪問介護事業所の営業時間(シャッターをあけている時間)
午前9時から午後6時までの9時間(お昼の休憩1時間を抜けば8時間労働)
営業日
平日(月〜金)の週5日営業
という訪問介護事業所があったとしましょう。
この場合、常勤職員の1日あたりの労働時間は8時間ですので、
労働時間:8時間÷勤務時間:8時間=1.0
となり、8時間の労働時間が「常勤換算で1.0」となります。
6時間の労働時間だと、『6時間÷8時間=0.75』となり、「常勤換算で0.75」となります。
4時間の労働時間だと、『4時間÷8時間=0.5』となり、「常勤換算で0.5」となります。
つまり、この営業時間で常勤換算2.5を満たす労働時間は
1.0+1.0+0.5=2.5
ですので、
8時間+8時間+4時間=20時間
となります。
1日8時間労働・週5日勤務の週40時間労働の場合は、『常勤換算2.5以上』という要件をクリアするために、訪問介護員やサービス提供責任者を総計して1日あたり20時間以上働かせないといけないことになります。
この20時間は上の計算式のように「3人」の合計でクリアさせても構いませんし、
1.0(8時間)+0.5(4時間)+0.5(4時間)+0.5(4時間)=2.5(20時間)
というように4名の合計でクリアしてもOKです。
人数は何人かかってもいいので、とにかく総計で20時間を超えるように、となります。
上の場合は、あくまで「1日8時間労働、週5日営業」の場合です。
訪問介護事業所の営業時間(シャッターをあけている時間)
午前9時から午後5時までの8時間(お昼の休憩1時間を抜けば7時間労働)
営業日
平日(月〜金)の週5日営業
という1日あたりの労働時間がちょっと短いところならば、常勤職員の1日あたりの労働時間は7時間ですので、7時間の労働時間が「常勤換算で1.0」となります。
6時間の労働時間だと「常勤換算で0.85」となります。
4時間の労働時間だと「常勤換算で0.57」となります。
よって、「1日7時間労働」という営業時間で常勤換算2.5を満たす労働時間は、
1.0+1.0+0.5=2.5
ですので、
7時間+7時間+4時間=18時間
となります。
1日7時間労働・週5日勤務の週35時間労働の場合は、「常勤換算2.5以上」という要件をクリアするために、1日あたり訪問介護員やサービス提供責任者を総計して18時間以上働かせないといけないことになります。
このように1日あたりの営業時間が短くなれば、その分常勤換算2.5を満たすための必要労働時間も少なくなります。
※サービス提供責任者の「事業所の規模に応じて」の基準
次の条件を満たす場合はサービス提供責任者を増員しなければいけません。
1.訪問介護員等の数が10人以上の場合
→10人又はその端数を増すごとに1人以上
例を挙げると、
訪問介護員が9人までならばサービス提供責任者は1人でOK
訪問介護員が10人〜19人ならばサービス提供責任者は2人でOK
訪問介護員が20人〜29人ならばサービス提供責任者は3人でOK
ということです。
2.月間の延べサービス提供時間が概ね450時間以上の場合
→450時間又はその端数を増すごとに1人以上
例を挙げると
サービス提供時間が449時間までならばサービス提供責任者は1人でOK
サービス提供時間が450〜899時間ならばサービス提供責任者は2人でOK
サービス提供時間が900〜1349時間ならばサービス提供責任者は3人でOK
となります。
通常、訪問介護事業所の開業時に「訪問介護員の人数が9名を超える」とか「開業数ヶ月でサービス提供時間が450時間を大きく上回る」ということはあり得ないので、開業の申請時は『サービス提供責任者は1人でOK』と考えてもらって結構です。
「事業所の営業時間」と「サービス提供時間」は全く別のものです。
ここで勘違いしやすいのが、うちの事業所は訪問介護のサービスを朝7時から夜9時までの15時間提供しようと考えています。この場合、常勤換算2.5だと、「15時間×2.5=37.5時間」となり、1日あたり37.5時間のヘルパーさんを準備しなければいけないのでしょうか?と考えてしまうことです。
「訪問介護事業所の営業時間(シャッターが開いていて常勤の職員が勤務するべき時間)」と「訪問介護のサービス提供時間(実際にヘルパーさんがサービス提供する時間)」は全く別です。
よって、サービス提供の時間が1日あたり15時間であっても、訪問介護事業所の営業時間(シャッターを開けていて常勤職員が勤務している時間)が8時間であるならば、「8時間×常勤換算2.5=20時間」となり、ヘルパーさんやサービス提供責任者の総労働時間は1日あたり20時間以上確保されていればOKとなります。
もう一つポイント!兼務できる職種があります。
★管理者:1名(常勤職員)
★サービス提供責任者:1名(常勤職員)
★訪問介護員:2名(2名とも常勤職員)
の合計4名の常勤職員で訪問介護事業所を開業するのが通常ですが、管理者とサービス提供責任者は兼務することができますので、サービス提供責任者が管理者も兼務すれば、
★管理者:1名(サービス提供責任者と同一人)
★サービス提供責任者:1名(管理者と同一人)
★訪問介護員:2名
の3名の常勤職員で開業することが可能になります。
必要人員が確保できそうにない場合は?
「うまくいくかどうかもわからないのに、事業開始時から2人、3人も雇用したくない」ということであれば、人員要件は満たせませんので、訪問介護事業をはじめることはできません。
よって、訪問介護事業の開業をあきらめていただくことになります。
訪問介護事業をはじめるにあたっての必要人員を確認し、
・その人員が確保できそう
・確保する自信がある
・求人を行って集めます
ということであれば、事業所の基準を確認しましょう。
ちなみにこの段階では、まだ従業員の募集をかける必要はありません。
訪問介護事業所を開業するには、このHPで説明しているように、非常に多くの書類を作成していかなければなりません。事業者指定申請(訪問介護事業所の開設手続)だけでなく、助成金の申請書や金融機関に提出する融資申請書・事業計画書の作成など、とにかく「訪問介護事業所を開業しよう」と決意したならばこれから先は書類との戦いが始まります。
もちろん、訪問介護事業所開設申請に関する書類の雛形は、大阪府庁の介護保険事業者指定の部署や兵庫県庁等に「訪問介護事業所開設申請に関する手引き書を下さい」ともらいに行けば簡単に手に入りますし、都道府県によってはHPから手に入れることもできます。
しかし、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく、しかも短時間でそろえることは、大変骨の折れることです。というよりそんなことできません。はっきり言って不可能です。
苦労して書類を一から作り、役所に何度も手直しをさせられて、やっと許可が下りた訪問介護事業所というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このHPを見られている方は「訪問介護事業所を開設すること」が目的ではないはずです。開設した訪問介護事業所にて高齢者に喜ばれるようなサービスを提供すること・社会貢献を行うことが本来の目的ではないでしょうか? 訪問介護事業所の申請に時間をかけるならば、開業後の活動準備(顧客確保のための営業活動や運転資金確保のための融資手続など)に時間をかけた方が経営者・そしてそのサービスを受ける高齢者にとっても利益となると思われます。
そこで、甲子園法務総合事務所では、訪問介護事業所の事業者指定申請手続きはもちろん、開業後に必要な重要事項説明書や契約書の用意、運転資金確保に関するコンサルティング(助成金情報の提供や金融機関への融資手続代行など)、設立後の届出、法務アドバイス、経理事務の代行など経営者の負担を少しでも減らせるように、各種サービスを提供しております。また、介護事業所は開業後も様々な書類を役所に提出しなければいけません。監督行政庁から行政指導を受けないように、健全な運営を行っていく上でのコンサルティングも行っております。是非、ご利用ください。
必見! 訪問介護事業所開設手続を専門家に依頼するメリットは?


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行政書士法人甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】

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日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり弊社が掲載されています。

女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。

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